配合生薬から見る当帰芍薬散と加味逍遙散の違い
当帰芍薬散 | 加味逍遙散 |
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当帰(とうき) | 当帰 |
芍薬(しゃくやく) | 芍薬 |
茯苓(ぶくりょう) | 茯苓 |
白朮(びゃくじゅつ) | 白朮 |
川芎(せんきゅう) | 柴胡(さいこ) |
沢瀉(たくしゃ) | 甘草(かんぞう) |
生姜(しょうきょう) | |
薄荷(はっか) | |
牡丹皮(ぼたんひ) | |
山梔子(さんしし) |
共通する生薬
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)と加味逍遙散(かみしょうようさん)で共通する配合生薬の「当帰」「芍薬」には、甘草の血液を補う作用(養血柔肝作用)があり、肝を保護して、情緒や自律神経系などを整える効果があります。活血作用もあり、血液を調えます。この2つは月経を安定させるのにも効果的です。
また「茯苓」「白朮」には消化器系の機能を調整し、消化吸収機能を高める効果があります。血の生成も援助する効果があります、
当帰芍薬散だけにある生薬
加味逍遙散には無くて、当帰芍薬散に見られる「川芎」は活血作用があり、「当帰」「芍薬」とともに、血行を改善して体を温めてくれます。手足の冷えに効果的な生薬です。
「沢瀉」は利尿を促し、むくみを解消する効果があり、「茯苓」「白朮」とともに体の汚れを取り除く効果があります。
加味逍遙散だけにある生薬
一方、当帰芍薬散には無くて加味逍遙散に見られる「柴胡」は「当帰」「芍薬」同様に血の血行を良くする側面を持ちつつ、「芍薬」との組み合わせて痛みを沈め、和らげる、鎮静や鎮痙、鎮痛効果もあります。
「薄荷」「牡丹皮」「山梔子」はとくに頭部から胸部の熱を抑え(清熱)、血中の熱を抑えてくれる効果があります。「山梔子」は肝臓の熱を抑えます。
「甘草」「生姜」は「茯苓」「白朮」とともに脾臓、胃を調えて体力を付けてくれます。
当帰芍薬散と加味逍遙散の効果の違いと使い分け
加味逍遙散の方が当帰芍薬散よりも「熱を抑える」効果が高いことが生薬を比べてわかります。
加味逍遙散は精神不安や不眠、イライラといった精神症状がある時によく使われます。
当帰芍薬散はむくみがちで手足の冷えが強い時に用います。
2つを大きく分けると、加味逍遙散は「熱」を持った症状に対して、当帰芍薬散は「冷え」をもつ症状に使われます。
当帰芍薬散の効果
当帰芍薬散は冷えやむくみなど水毒の症状を伴うものに良いです。
不妊症によく使われる漢方で、妊娠を安定させる効果(安胎作用)を保つため流産予防にも効果的です。
このことからも分かるように、子供への影響(授乳中、妊活)などにおいて、漢方の中では安全な方です。
しかし、長期服用や過剰摂取などは問題になる可能性があります。
かかりつけのお医者さんや薬剤師と相談しながらの服用をオススメします。
女性だけでなく、男性にも貧血やめまい、むくみ、耳鳴り、膀胱炎、腹痛や腰痛の改善にも使用されます。
加味逍遙散の効果
加味逍遙散は更年期女性の症状(イライラ、高血圧、不眠、抑うつ、のぼせ、手足や顔のほてりなど)や便秘にも効果的です。
更年期にさしかかる女性が1ヶ月でのぼせや不眠がなくなった例や半年近くで便秘の解消した例もあります。
人の体は常に変わるので、そのタイミングで自分の症状に合う漢方を選ぶことが最も効果的です。
副作用の注意
発疹や貧血などの副作用、体に異常を感じたらまず服用をやめましょう。
特にアトピー性皮膚炎を持っている人に「芍薬」は服用しないことを勧めます。
皮膚炎が悪化する恐れがあるからです。
加味逍遙散と当帰芍薬散を併用した場合には、発疹などの副作用が出る可能性が高まるのでオススメしません。
漢方はあなたの体の回復力を高めるものなので、症状に合った漢方を使いながら、健康な食生活、適度な運動をしていきましょう^^