防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)とは?

気の不足による水分の滞りや風湿を改善するのが【防已黄耆湯】です。

体が弱い(気虚)人の浮腫(むくみ)や関節痛などに用いられます。

 

気が不足してしまうと、水分の代謝や循環が鈍くなり、むくみやすくなります。

体を守る機能も弱くなり、ちょっと動いただけで、どっと汗が出ます。

汗と一緒に元気も体の外に流れ出てしまうとで、ますます体が弱くなり(気虚)、疲れやだるさが消えなくなります。

 

このような体質を改善できるのが、【防已黄耆湯】です。

 

こういう症状が出ている人に効果あり

【防已黄耆湯】は、体が弱い(気虚)人の「風水」「風湿」と呼ばれる症状を改善するものです。

 

風水とは

水分代謝が不十分で、水分が体内にたまりやすい体質に風邪の刺激が加わり、ますます水分が停滞する病態です。

 

むくみや発熱、悪寒(おかん)、体が重だるい。おしっこの出が悪い(尿量減少)などの症状が出ます。

さらに悪化すると、急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、心臓性浮腫などが見られます。

 

風湿とは

風邪と湿邪(水の邪気:冷えを引き起こす)が合わさった病態です。

 

症状として、関節痛、関節の腫れ、関節に水が溜まりやすい、全身が重だるい、悪風などの症状が現れます。

変形性関節症、関節リウマチ、神経痛などでも見られやすいです。

 

風水・風湿はどちらも風邪なので、突然、急に症状が発生することが多いです。

 

気虚の症状

【防已黄耆湯】が改善する症状のベースには「気虚」があります。

つまり、全身の機能低下があるために、免疫力や抵抗力も落ちていて、病邪をなかなか排除できません。

 

こういう時の体が弱っている状態の気虚は、毛穴が緩んでいることが一般的です。

体の表面をきっちり引き締める力が弱いことで

・疲れやすい、元気がない

・息切れ

・舌が淡白色で、舌苔も白い

・緩んだ毛穴から汗がじわじわ出やすい

といった症状が出ます。

開いた毛穴から風邪も侵入しやすく、風水や風湿になりやすくなります

 

気虚で多汗症の場合、ちょっと動いただけでも汗をかく、上半身から汗をかきやすい、といった特徴があります。

暑い夏に顔からだらだらと汗をかいて、扇子やタオルが手放せず、ぽっちゃりした人の体質改善に【防已黄耆湯】が効く場合が多いです。

 

このような症状が出ている場合、膝が痛む人も少なくなく、いずれの症状にも、【防已黄耆湯】が効果的です。

 

気虚には浮腫(むくみ)もよく見られます。

 

気が不足しているため、水分を上部まで循環させることができず、水分は重力に負けて下半身にたまり、夕方になると足がぱんぱんにむくむことが典型例です。

立ち仕事やパソコン業務などで1日中座りっぱなしの場合、とくに現れやすいです。

 

足にたまった水分は、横になって寝ている間にまた全身に広がるため、朝になると足のむくみが解消されます。

朝だけ上半身で水分が多くなり、顔がむくみ、まぶたが腫れぼったくなったり、手の指がむくんで指輪がきつくなったりもします。

 

葛根湯や麻黄湯と防已黄耆湯の違い

【防已黄耆湯】は風邪に使われますが、風邪によく葛根湯や麻黄湯などの麻黄剤で発汗させて治療に当たります。

 

しかし、皮膚や粘膜の免疫力が低下している、不規則生活や食生活の乱れ、運動不足などのエネルギーが落ちている状態では、むしろ葛根湯や麻黄湯による発汗効果は病状を悪化させることがあります。

そのため、【防已黄耆湯】により、エネルギーをたくわえつつ(補気)、かぜを取り除く処置を行います(祛風)。

 

風邪の引き始めはまだ体力があるので、葛根湯や麻黄湯が効果的ですが、長引いて体力が落ちているときは【防已黄耆湯】を考えましょう。

防已黄耆湯の成分と効果

【防已黄耆湯】には6つの成分があります。

 

【防已黄耆湯】には防已という生薬が含まれます。

防已

排尿により下痢やむくみ(浮腫)を治療する効果(利水消腫)と、風邪を除去する働きがあります。

体の水の流れを良くして、利尿作用でむくみを解消してくれます。

とりわけ、重力によって起こる足のむくみに効果的です。

 

消炎作用や筋弛緩作用もあり、関節痛を改善してくれます。

 

黄耆

かぜを引きやすい人の体質改善に効果があります。

皮膚の血液循環を促して、むだな発汗を止めて体表の免疫力を高めます。

毛穴をキュッと締めて、体液の流れを整え、利尿してむくみを解消します。

 

気力を上げる効果が強く、脳の活性をあげて全身の機能を高めてくれます。

しびれを軽くする働きもあります。

 

防已と黄耆の両方の働きによって、体表を固めて風邪を払い、気と体液の流れを良くしてくれます。

 

白朮

防已と黄耆の効果をサポートして、気のエネルギーを高め、脾臓を調子を改善して、冷えを解消します。

黄耆とともに体の免疫力を高めます。

防已とともに体内の水の流れを良くする効果を倍増させて、浮腫(むくみ)や関節痛を解消します。

 

生姜と大棗(たいそう)

風邪を取り除き、水の流れを調え、体表の状態を改善します。

主薬(防已と黄耆)の副作用を低下させる効果(佐薬)もあります。

 

甘草

消化吸収機能を調えて、諸薬の薬性を調和します。

 

漢方【防已黄耆湯】との飲み合わせ

脾臓や胃に水がたまり(湿邪)、おなかのハリ(腹部膨満感)などの症状がある時には平胃散を合わせることもあります。

腹痛があれば芍薬甘草湯などを併用します。

 

吐き気ばあれば桂枝湯を合わせて飲みます。

 

関節痛で炎症が強い場合は、麻杏薏甘湯(まきょうよくかんとう)や薏苡仁湯(ヨクイニントウ)を合わせます。

 

一方で、関節痛があって、元気があって汗も出るという場合、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)を使います。

 

【防已黄耆湯】を使う際、元気がない状態(気虚)の人に使うことがベースとなっています。

明らかに症状が悪化していると感じた場合、すぐに服用は中止しましょう。

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